[ A3000形 ] 静岡鉄道静岡清水線用
A3000形は静岡鉄道の車両で、約50年に渡って使用された1000形に代わる静岡清水線の主力車両である。先代の1000形に続き、路面電車型以外の地方私鉄では珍しい自社発注車である。
1000形と同じく18m級・3扉オールロングシートの2両編成で、1000形が東急車輌製だったのに続いて総合車両製作所が製造した。総合車両製作所のステンレス車両ブランド「sustina」のS13シリーズ(18m・3扉)初めて採用した形式であるとともに、「sustina」を編成単位で導入したのも私鉄では静鉄が初めてだった。内外装に他の総合車両製作所製車両との共通点が見られる一方で、A3000形特有の仕様も多く見られる。
ステンレス無塗装だが、導入される12編成のうち7編成はそれぞれ異なる7色にラッピングされ、「Shizuoka rainbow train」とされている。その他の5編成は通常は広告をラッピングしている。1000形と同数が導入され、静鉄の全営業車両を置き換える。
A3004-A3504 新清水方より 入江岡〜新清水間にて 2024/09/30
浜松を走る遠州鉄道とともに、21世紀の地方私鉄ではかなり珍しく自社発注のオリジナル車両で営業車両を揃えている。第4編成はレインボートレインの「Brilliant Orange Yellow」。
A3005-A3505 新静岡方より 柚木〜長沼間にて 2024/09/30
先頭部分は上下だけでなく左右からもすぼまっていくデザインで、踏切事故対策のために強化されている。第5編成は連イボートレインの「Elegant Blue」。
A3003-A3502 新静岡方より 柚木にて 2024/09/30
第3編成はレインボートレインの「Natural Green」。
A3002-A3502 新清水方より 柚木間にて 2024/09/30
第4編成はレインボートレインの「Passion Red」。
新静岡方より 長沼にて 2024/09/30
第1編成「Clear Blue」(左)、第8編成「Fresh Green」(右)と、ラッピングの第11編成(奥)が見える。第7編成「Pretty Pink」は車庫内に入っていて撮れなかった。
A3010-A3510 新清水方より 柚木〜長沼間にて 2024/09/30
レインボートレイン以外の編成はステンレス無塗装だが、いずれも側面が広告でラッピングされている。
A3006-A3506 新清水方より 入江岡〜新清水間にて 2024/09/30
側面(A3004)
側面の扉配置は1000形と揃えられており、東急7000形に似ている。sustinaシリーズではあるがフルフラット構造ではなく、扉周辺や側板・幕板との境界には継ぎ目の段差がある。
A3000seriesプレート
A3000形のAは「Active」「Amuse」「Axis」の3つの意味が込められている。「A」の字体が特徴的な、鏡面仕上げのプレートが取り付けられている。
社名
現在のシンボルマークは2019年制定で、A3000形よりも新しい。
shizuoka rainbow trainステッカー
レインボートレインのみ、扉横に貼られている。
行先表示
フルカラーLEDだが、コロナ禍で急行運転が廃止されて以降はフルカラーの強みを活かせていない。
パンタグラフ
シングルアーム式パンタグラフが各車両に1基ずつ取り付けられている。
車内
オールロングシートで、白い化粧板に青い座席という涼しげな配色。車内の見通し確保のためか、1000形と同じく貫通路は幅広で貫通扉は設置されていない。
座席
9人掛けのロングシートで、1000形にはなかった袖仕切り・掴み棒が設置されている。吊り手の形状は一般的な三角形や丸ではなく、2つを組み合わせたような本形式独特のもの。
1枚目:荷棚 2枚目:カーテン
荷棚は各扉間のロングシートの中央3席の上にのみ設けられている。そのため、他の部分では掴み帽の上端の処理が本形式独特である。
JR東日本や東急の車両と異なり、ロールカーテンが設置されている。
車椅子スペース
車椅子スペースは各車両の乗務員室側にある。レインボートレインでは、手すりのカバーの色が外装の色に合わせられている。
側扉
両開きの扉で、車内側はステンレス無塗装。
鴨居部
鴨居部には横長なタイプの車内案内表示画面が設けられている。配置は千鳥形で、画面がない箇所は路線図が掲出されている。
先頭部
前面展望を楽しむことができる。
運転室内、運転台
運転室内から見ると前面窓は台形をしている。運転台はワンハンドルマスコン式で、ワンマン対応ながらもシンプルな機器配置とされている。
ローレル賞受賞プレート
A3000形は2017年に鉄道友の会からローレル賞を受賞した。
・形式のデータ
沿革 2016/03/24:第1編成営業運転開始|2023年度:導入完了予定
編成数・両数 2両11編成(2023年9月現在)、増備完了時12編成予定
・ページのデータ
取材:2023/09/30
公開:2023/10/09
更新:公開後未更新