日本駅巡り紀行

三岐鉄道270系

[ 270系 ] 三岐鉄道 三岐鉄道北勢線

270系は三岐鉄道が北勢線用に保有する車両。近鉄が北勢線の近代化のために導入した車両で、総括制御が可能な270系の導入により北勢線では牽引運転や機回しなどの前近代的な運行方法が廃止された。三岐鉄道が北勢線を引き継いだ際に路線とともに引き継いだ。

全長15.6m・片側2扉の普通鋼製車体で、全車が片運転台の制御電動車。四日市あすなろう鉄道に所属する260系のモ260形・ク160形と並んで日本のナローゲージ鉄道では史上最大の車体長を持つ。ナローゲージの床下のスペース制約により、吊り掛け駆動を採用している。

北勢線では唯一の電動車形式であるため、全ての編成に組み込まれており、三岐鉄道移管後に高速化改造を受けている。導入時期や機器構成により、クモハ270形・クモハ170形、クモハ273形、クモハ277形に分類されている。

クモハ270形・クモハ170形

クモハ270形・クモハ170形はK71・K72編成に組み込まれており、クモハ270形が阿下喜方、クモハ170形が西桑名方の先頭車。間にサハ140形を連結する。

投入時はモ270形、ク170形として制御電動車と制御車に分かれていた。しかし、三岐鉄道移管後の高速化改造で車両間で台車を交換し、両者ともに連結面寄りが電動台車、運転台寄りが付随台車の、所謂0.5M方式の制御電動車とされた。その際に形式も変更されている。

客室の一部を使用して冷房機器が設置されており、K71・K72編成は全車冷房化されている。

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 K72編成クモハ172 西桑名方より 東員にて 2021/11/27
K71・K72編成は大型車で小型車を挟む3両編成。171・172は制御車として落成したが、車重の分散と冷房化のため電動化された。

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 K71編成クモハ271 阿下喜方より 東員駅構内 2021/11/27
271・272は当初から制御電動車だったが、片側の台車を付随台車に交換している。パンタグラフを取り付けている。

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 クモハ170形 1枚目:員弁川側 2枚目:揖斐川側
クモハ273形・クモハ277形に比べると、冷房機器の分だけ窓が少ない。機器類の配置が非対称であることが分かる。

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 サハ140形との連結面
大量の改造により、車歴が20年近く異なる両者の見た目が近づけられている。

クモハ273形

クモハ273形はK73〜K76編成の阿下喜方先頭車で、西桑名方にサハ・クハ130・140形を2〜3両連結している。

クモハ270形と同様にモ270形として投入されたが、連結相手の各車を電動化するのが難しかったため、三岐鉄道移管後の高速化改造でも2つの台車が電動台車のままとされた。そのため形式がクモハ273形に分けられた。全台車が電動のまま冷房機器を積むと軸重が重くなりすぎてしまうため、非冷房のまま(K73〜K75編成では連結相手の付随車のみ冷房化されている)。

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 K73編成クモハ273 阿下喜方より 東員駅構内 2021/11/27
K73〜K75編成は、サハ140・サハ130・クハ140と連結して4両編成を組む。編成内で最新のクモハ273形だけ非冷房という逆転現象が起きている。

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 K76編成クモハ276 阿下喜方より 阿下喜駅構内 2021/11/27
K76編成はサハ130・クハ130と3両編成を組み、北海道以外では今時珍しい全車非冷房の編成。

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 クハ273形側面
クハ270形と基本的には同じだが、車内に機器室がないため窓の数は多い。なお、北勢線の全ての形式で共通だが、行先表示器の設置は先頭車のみ。

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 パンタグラフ
全編成、阿下喜方先頭車(クモハ27x形)の連結面寄りにパンタグラフを装備する。ひし形のパンタグラフで、架線の高さは一般的な鉄道とあまり変わらないのに車体が低いため、パンタグラフのサイズは大きい。

クモハ277形

クモハ277形はK77編成の阿下喜方先頭車で、西桑名方には200系3両を連結する。1990年にモ277形として投入された増備車で、他の8両よりも干支一回り以上新しい。2026年時点では日本で最新の吊り掛け駆動式の電車(車体更新車を除く)である。

モ270形の後に内部・八王子線用に導入されたモ260形の設計がフィードバックされており、車体の軽量化と接客設備の向上が図られている。連結相手の200系の電動化が難しいため、クモハ273形と同様に全台車が電動台車で、非冷房のまま。

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 K77編成クモハ277 阿下喜方より 東員にて 2021/11/27
K77編成は連節車の200系を連結した変則的4両編成で、K76と同じく全車非冷房。三重交通時代の塗装を復刻している。
塗装も異なるせいで分かりにくいが、外観が他の車両とは異なる。前面窓が2枚窓から1枚窓にされるとともに、行先表示器が拡大され、それにより前照灯と車号の位置が移動している。

内装

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 クモハ270形・クモハ170形車内
ロングシートで、茶色系の床・壁に対してモケットの青色がやや目立つ。基本的な内装は登場時から変わっていないようだが、近鉄時代はモケットがえんじ色だった。

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 クモハ270形・クモハ170形車端部
最も連結面寄りの窓1枚分と運転室後ろの進行方向右側の客室には機器室が設置され、冷房機器などが入っている。

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 クモハ273形車内
基本的な内装はクモハ270形・クモハ170形と変わらないが、機器室が無い分だけ座席が多い。北勢線は都市型ワンマンによるワンマン化を実施しているため、地方私鉄の車両にありがちな運賃箱や運賃表は設置されていない。

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 クモハ273形車端部
妻窓も設置されており、非冷房と引き換えに車内は開放的。

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 クモハ277形車内
北勢線では唯一のクロスシート車で、四日市あすなろう鉄道に引き継がれた260系と同じくバスのような片側1列・1方向のクロスシート。壁の化粧板の色もやや明るく白っぽいものが採用されているようだ。

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 側扉(画像はクモハ273形)
両開き戸が採用され、戸袋窓は両略されている。扉の上に小さな路線図が掲出されている。

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 運転台(画像はクモハ273形)
昔ながらの縦軸ツーハンドル式を採用した低運転台。クモハ277形は運転台の配置が異なる(同タイプの運転台はクハ136に設置。クハ130形のページを参照)

・形式のデータ
沿革 1977年10月:モ270形・ク170形導入|1990年8月:モ277増備|2005〜2008年:順次高速化改造。改造と同時に現在の形式名に変更|2006〜2009年:一部車両が順次冷房化改造(一部は高速化改造と同時施工)。
編成数・両数 クモハ270形・クモハ170形各2両、クモハ273形4両・クモハ277形1両の9両(2026年4月現在)

・ページのデータ
取材:2021/11/27
公開:2026/04/19
更新:公開後未更新

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