[ 羽田空港線 はねだくうこうせん ] 東京モノレール
東京モノレール羽田空港線はJR東日本グループの東京モノレールが保有する浜松町〜羽田空港第2ビル間を結ぶ17.8kmの路線で、現在では世界で唯一の日立アルウェーグ式モノレールである。
日立製作所と名古屋鉄道の出資した日本高架電鉄が新橋〜羽田間の免許を取得したのは1961年のことで、その後浜松町にターミナルが変更され、1964年に東京モノレール(日本高架電鉄から改称)の羽田線として開業した。しかし、当時の空港利用客は少なく、また終夜の突貫工事で作られた京浜運河上の区間の建設費などが足かせとなったため経営は悪化した。そのため名古屋鉄道はすぐに経営から撤退し、東京モノレールは経営の危機に直面した。日立運輸らと合併して日立運輸東京モノレールとなり、日立グループの一員として経営立て直しを図ることとなった東京モノレールは、空港利用客の増加・モノレールへの定着や途中駅設置などにより徐々に利用客を増加させ、再び東京モノレールとして独立した。
次の転機は2002年で、浜松町駅の改装などの大規模投資を抑えたい日立はこの年羽田空港アクセスへの参入を考えていたJR東日本に株式を譲渡することとなり、東京モノレールはJR東日本グループとなった。この間の1998年に京急が空港島乗り入れを果たすなどモノレール周辺の状況は大きく変化している。JR東日本グループとなってからは浜松町駅での乗換の利便性が向上するなどの変化が見られたほか、2003年からは快速運転も開始された。
なお、この路線の路線名は「東京モノレール羽田空港線」で、「東京モノレール」も含めて路線名である。
駅紹介
東京モノレールの駅はかつては浜松町と羽田(今の天空橋付近)の2駅のみであったが、徐々に中間駅が増設され、さらに空港の沖合展開に伴って路線そのものも延伸されている。
駅名 | 連絡路線、停車種別など | 駅の状況 | 沿線風景 | |
MO 01 | 浜松町駅 | JR東海道線乗換 空港快速・区間快速停車 |
高架駅、高架下駅舎 | 列車がちょうど4分の間隔で発着する浜松町駅を出ると、整備場駅の手前までは大半の区間が京浜運河の上を通る。これは用地買収を減らして工期を短縮するためだが、結果的に建設費を高め、経営を圧迫する原因になった。 |
MO 02 | 天王洲アイル駅 | りんかい線乗換 区間快速停車 |
高架駅、橋上駅舎 | |
MO 03 | 大井競馬場前駅 | 区間快速停車 | 高架駅、地上駅舎 | |
MO 04 | 流通センター駅 | 区間快速停車 | 高架駅、地上駅舎 | |
MO 05 | 昭和島駅 | 地上駅、地上駅舎 | ||
MO 06 | 整備場駅 | 高架駅、地上駅舎 | 整備場駅からの5駅間は空港島の内部となる。地下区間と高架区間が交互に現れるようになっていて、風景が目まぐるしく変わる。終点羽田空港第2ビル駅の手前にあるシーサスクロスは、モノレールでは世界で唯一のものである。 | |
MO 07 | 天空橋駅 | 京急空港線乗換 | 地下駅、地上駅舎 | |
MO 08 | 羽田空港国際線ビル駅 | 空港快速・区間快速停車 | 高架駅、高架駅舎 | |
MO 09 | 新整備場駅 | 高架駅、地上駅舎 | ||
MO 10 | 羽田空港第1ビル駅 | 空港快速・区間快速停車 | 地下駅、地下駅舎 | |
MO 11 | 羽田空港第2ビル駅 | 空港快速・区間快速停車 | 地下駅、地下駅舎 |
車両
1000形 | 2000形 | 10000形 |
1000形は旧型車両の置き換えのために1989年から導入が始まった形式で、東京モノレール初の6両固定編成である。2016年現在でも東京モノレールの最多在籍形式である。 | 2000形は第2ターミナル延伸と旧型車両の置き換えのために1997年から導入された形式で、東京モノレールで初めてVVVFインバータを導入した。 | 10000形は1000形の代替車として導入が始まった車両で、2014年に登場した。2000形を基にしつつも「スマート・モノレール」のコンセプトで数々の新機軸を採用した。 |
運行
2003年に日本のモノレールでは初となる優等列車「快速」が運転を開始した。さらに2007年には昭和島駅に追い越し設備が完成したため快速運転がより強化され、従来の快速に変わって「空港快速」と「区間快速」の2本立てのダイヤになった。
現在の昼間ダイヤでは「普通」「区間快速」「空港快速」の3つがそれぞれ12分おきに運転されるダイヤになっていて、昭和島駅で空港快速が普通を追い越す。モノレール浜松町〜羽田空港国際線ビル間の所要時間は13分で、京急「エアポート快特」の品川〜羽田空港国際線ターミナル間の所要時間と同じになっている(2016年6月現在)。
・路線のデータ
開業日 浜松町〜羽田(延伸時に廃止)間:1964(S39)年9月17日/羽田(延伸時に移設・現:天空橋)〜羽田空港(現:羽田空港第1ビル):1993(H5)年9月27日/羽田空港国際線ビル前後:2010(H22)年4月11日経路変更/羽田空港第1ビル〜羽田空港第2ビル:2004(H16)年12月1日
路線長:17.8km
単線/複線 全線複線
・ページのデータ
公開:2010年9月25日
更新:2010年11月3日(小規模な変更)・2012年2月13日(全て差し替え)・2016年7月19日(再び大幅に差し替え)