2100系は一畑電車の保有している電車。京王電鉄5000系を一畑電車の車両近代化のために改造した車両で、譲受時期によって扉数が異なる。2010年代に新たな中古車により置き換える計画があったが、手頃な中古車が不足していたために4編成中3編成が延命された。今後、2024〜2026年度にかけて、5000系2編成と2100系2編成が新車に置き換えられて廃車される見込みである。
18m級の鋼製車体で、前半に導入された2編成はオリジナルと同じ3扉車だが、後半の2編成は座席数増強のため2扉に改造されている。導入時は白・青・黄のブロックパターンの塗装だったが、2024年現在はデハニ50形をイメージしたオレンジと白の塗装とされている。第3編成は改造され、1両がテーブル付きのイベント車両とされている。
探訪時、3扉車のデハ2101+デハ2111は運用に入っていなかったため、紹介しているのはすべて2扉車。デハ2102+デハ2112はすでに廃車されている。
デハ2104+デハ2114 一畑口方より 大寺にて 2022/08/27
現在の標準塗装はデハニ50形をイメージした「オレンジに白帯」で、デハ2101+デハ2111も同様の塗装。
デハ2104+デハ2114 松江しんじ湖温泉方より 松江しんじ湖温泉にて 2022/08/27
もともと先頭車だった車両を改造しているため、京王5000系と外観上の変化は少ない。
機器面では、すべてのデハ2110形とデハ2104は電動化改造を受けており、また全ての車両で台車を営団3000系の廃車発生品に取り替えている。
デハ2104+デハ2114 一畑口方より 伊野灘にて 2022/08/27
デハ2103+デハ2113 松江しんじ湖温泉方より 長江にて 2022/08/27
デハ2103+デハ2113は2013年にイベント車両「楯縫(たてぬい)」に改造された。塗装も他の2編成とは異なり、白をベースとしている。
デハ2103+デハ2113 出雲大社口方より 川跡にて 2022/08/26
改造の影響なのか、行先表示器の仕様が停止されており、車掌室側の窓内に行先を表示した札が掲示されている。
デハ2103 側面
2扉化されている。よく見ると車番と社章が表示されている部分だけ窓の割り付けが異なっており、その部分が中央扉を埋めた箇所だ。
パンタグラフ
ひし形。
デハ2104 車内
車内は種車である京王5000系と同じロングシートで、車端部は優先席とされている。2扉化された車両も、まるで元から2扉ロングシートだったかのような自然な仕上がりに改造されている。
座席
2扉車は超ロングシート。後藤工業に検査・修繕等を委託しているためか、座席のモケットはJR西日本と同様の青色(優先席は深緑色+ピクトグラム)のものが使用されている。
デハ2103 車内
「楯縫」に改造されたデハ2103の車内は座席がソファシートに変更され、扉間のすべての座席が一畑口〜松江しんじ湖温泉方で宍道湖を向くようにされている。
床面が木質のフローリングとされ、天井・壁の化粧板も更新された。ロングシートのままの車端部を含め、袖仕切りや荷棚・吊り手も改造されている。
デハ2103 テーブル付き座席、宍道湖の眺望
片側は回転式クロスシートだが、通常は窓向きに固定されている。窓側にはドリンクホルダー付きのテーブルが設置されている。
デハ2113 車内
デハ2103と編成を組むデハ2113は改造されていないが、モケットだけ深緑色のものに交換されている。
側扉
片開き戸で、連結面側の扉の横には整理券発行機が設置されている。
運転台後部
運転台の後部の片側は車椅子スペース、反対側はロングシート。ワンマン対応の運賃箱が設置されている。
デハ2103 運転台後部
デハ2103だけは、ロングシートの代わりにクロスシート(南海10000系「サザン」の廃車発生品)が設置されている。
運転台
京王5000系と同じくツーハンドル式の低運転台のまま。
・車両のデータ
沿革 1994/11/18:第1編成が入線
在籍両数(2024年12月現在) 2両3本の計3編成6両(最大時には4編成8両)
・ページのデータ
取材:2022/08/26・2022/08/27
公開:2024/12/15
更新:公開後未更新